鏡開きの1月11日、その年の豊漁と安全を祈願して、海岸で神楽を奉納します。
もとは漁師たちがおこなってきた行事を材木座の五所神社が引き継ぎ、
豊漁とともに町内の家内安全を祈願しているそうです。
神楽に引き続きどんど焼きがおこなわれ、ご近所の方、
カメラマンの方々が大勢集まっていました。
材木座海岸の砂浜に、青竹を四方に立てて縄をはり、下にはござを敷き、
いつもとは違う神聖な空間ができています。
海に向かって祭壇が作られ、お酒やみかんなどのお供え物が並べられています。
隣にはどんど焼きで燃やされるお正月飾りやお札が山になっており、
その真ん中にも青竹が立てられています。
冬の快晴のもと、空も海も澄んで青く、
砂浜にぽっかり現れた空間が幻想的で美しい。
波の音とともに耳に入ってくる神楽の音色は、とても心地よい。
ワタシたちが到着すると、すでに神事ははじまっていていました。
去年は保育園のお散歩でみんなで見学にきたウチノコは、
だいたい内容を覚えていて、「テングいるかな~?」とわくわく。
お神酒をふるまったり、笹の葉に釜のお湯をつけておはらいしたり、
神楽を舞い、四方に弓を放って、次々と神事が執りおこなわれていきます。
そしていよいよ天狗の登場。
目の前で宮司さんが面をつけて天狗に変身するのですが、
それを目の当たりにしても、天狗になった姿には、
大人でも少々恐ろしさを感じます。
こどもたちもわくわくしながら、ちょっとこわがっています。
赤い面に高い鼻の天狗と、黒い面で低い鼻の山の神「もどき」が、
ユーモラスな動きを見せながら、見物客たちにみかんをまきます。
ウチノコと一緒に見ていたお友だちは、「もどき」が近づくたびに、
「こわーい!」と大きな声を出しつつ、
でも興味津々のようでその場を離れずじっと見ていました。
「もどき」がふざけてそのお友だちに何度も近づきます。
そのたびに「こわーい!」と叫ぶお友だちに、
大人たちからは思わず笑いがもれましたが、
近くにいたおばあさんの話によると、
わざとこどもをこわがらせて泣かせることが伝統なんだとか。
気になって、帰ってこのふたりの神様の関係を調べてみました。
この汐神楽の場合に限らず、「もどき」とは神やその行為を真似したり、
からかったり、反抗したりして、
神のことばや行いをわかりやすく解説する役割を言うそうです。
神様の表と裏なのですね。
何にでも表裏があり、表裏があるからこそ伝わるものがある、納得です。
食べると縁起がいいというみかんをひとつずついただき、
どんど焼きの山に去年のお守りやお札、お正月飾りを投げ、
砂浜に上がる大きな炎をウチノコと眺めました。
広がる海と空に、燃え上がる炎と立ち上る黒い煙。
自然の尊さと畏怖を感じ、神聖な気持ちになっていたのは、
直前までお友だちとふざけていたウチノコも同じだったのではないかな。
by 瀬戸なおよ
<DATA>
材木座海岸 汐神楽
2009年1月11日
汐神楽:10時~
どんど焼き:11時~
<こづれ豆知識>
海岸ということもあり、こどもの姿も多く、時々砂浜で遊びつつ、
神事も見ごたえがあるので、子連れにおすすめの祭事です。