蛭子(ひるこ)神社は、鎌倉駅近く、若宮大路の警察署裏手にある、
小さな神社です。小町大路に面した入口は、小さな鳥居があるだけで、
奥に入らないと拝殿も何も見えません。そこに神社があると気づかず、
通り過ぎてしまっているひとも多いのではないでしょうか。
いつ入っても他にひとがいたためしがなく、いつもひっそりと、
ただそこにある、その雰囲気がわたしは好きで、
ウチノコと時々散歩に行きます。
裏手には滑川が流れ、古めかしい拝殿が静かにたたずんでいます。
でも実際には、いつも観光客でにぎわう鎌倉のメインストリート
小町通りを含む、小町の氏神様。8月の第三日曜日が、祭礼の日です。
土曜の夜には、宵宮祭。紅白の幕に、お手製のぼんぼり、
近隣のこどもたちの絵で、にぎやかに境内が飾られます。
境内の真ん中に太鼓が置かれ、盆踊りの輪ができています。
周りには露店ではなく、自治会の方が開く焼鳥屋、やきそば、
かき氷のお店が少しあるだけの、アットホームな夜祭りです。
ウチノコははりきって盆踊りを踊り、順番に太鼓を叩かせてもらい、
最後にはお菓子の詰め合わせもいただいて、大満足。
日曜の神幸祭には、大人神輿とこども神輿が出ます。
大人神輿の先頭には天狗が歩き、蛭子神社から小町大路を進み、
駅前に出て小町通りへ突入します。
夏場は観光のひとが少ないとはいえ、
やはりにぎわう駅前から小町通りにかけてを、
勢いよく「どっこいどっこい」と進んでいく神輿はなかなかの迫力。
霧雨の降るなかでしたが、ウチノコがやる気になっていたので、
こども神輿に参加することにしました。
事前の申込は必要なく、当日東急前に集合とのこと。
一緒に行こうと言っていたお友達は風邪でダウン。
ウチノコと東急に向かいましたが、
集合時間を過ぎてぱらぱらとひとが集まりはじめたものの、
担ぎ手のこどもは10名ほど。
大人神輿に比べると、なんとも迫力ないこども神輿でしたが、
最初はおとなしかったこどもたちも、いきのいいおじさんの先導で、
徐々に「どっこいどっこい」の声も大きくなっていきました。
人ごみをかき分けて小町通りに入っていくと、
その特別感に、こどもたちの顔はとてもいきいきとしていました。
東急から小町通りの途中まで、わずか30分ほどのこども神輿でしたが、
こどもたちにとっては、十分やりとげた感覚があったようです。
わずか10名程度のこども神輿でしたが、その数人すらも集まらず、
こども神輿を中断していた時期もあったそうで、
少しずつでも絶やさずこども神輿を毎年出していきたいと、
係のおじさんが言っていました。
静かで地味で目立たない、でも長くずっとあたりまえにあるもの。
そういうものこそ大切に守っていきたいと、
いつまでもあたりまえにあってほしいと、思いました。
微力ながら、来年もぜひ祭礼に参加したいと思います。
by 瀬戸なおよ
<DATA>
蛭子神社祭礼
2008年8月16日・17日
蛭子神社
鎌倉市小町2ー23ー3
拝観料無料
<こづれ豆知識>
こども神輿は前後を大人が持ってサポートしており、
駅前から小町通り途中までと距離も短いので、
小さなお子さんでも気軽に神輿かつぎを体験できます。