手帳がない発達障害者も利用できる「自立支援医療制度」について、申請方法など。
成人後に障害の診断を受けた「あーるさん」。
このシリーズでは、あーるさんのお母さんが、大人の発達障害・知的障害で「利用できる支援」にたどり着くまでの体験やその時に調べたことを紹介します。
自立支援医療(精神通院医療)とは
あーるが診断後に最初に受けられるようになった支援が【自立支援医療】です。
精神の病気で通院する時、医療費の自己負担を減らしてくれる制度です。原則1割負担になり、世帯所得や障害の程度に応じて月額上限があり、超えた分は公費でまかなわれます。
この制度における【世帯】とは、『同じ健康保険に加入している家族』で、住民票や障害福祉サービスの世帯とは異なります。同居の家族でも、健康保険が別なら別世帯です。
障害者総合支援法に基づいており、制度としては全国共通ですが、手続きは自治体毎に多少の違いがあるようです。受給者証の発行などは県が行っていて、申請窓口は鎌倉市障害福祉課です。
なお鎌倉市では、障害基礎年金の受給や中度以上の手帳がある場合、所得制限付きで医療費が無料になる【鎌倉市障害者医療費助成制度】があります。
そちらの対象になる人は医療費無料ですから、自立支援医療を利用する必要はありません。
ただ、精神通院の時に自立支援で2割分を国と県が負担すれば、医療費助成制度の負担を減らせるので、鎌倉市はできれば併用して欲しいみたいです。
制度を利用できる人
精神障害により通院治療を続ける必要があると医師が判断した人。
障害者手帳の有無は問いません。
手帳が取れない程度でも、ほとんどの精神障害は対象になります。
うつ病など、高額な治療を長期に続ける必要がある人は【重度かつ継続】として、通常と別の月額上限があってさらに負担が軽減されます。
発達障害でも『継続的に治療や服薬が必要』なら対象で、症状と治療方針によっては【重度かつ継続】の扱いになります。
知的障害だけの場合は治療で治るものではないので、他の精神症状がなければ対象外です。
令和6年4月以降は所得制限が付く予定です。詳しくは県のHPに文書があります。
≫https://www.pref.kanagawa.jp/documents/11515/poster.pdf
メリット
デメリット
医療機関について
この制度は、申請した【指定自立支援医療機関】でしか利用できません。病院は1ヶ所のみ、その処方箋を持って行く薬局は2ヶ所まで選べます。
利用したい医療機関が指定されているかどうかは、県のHPで確認できます。
診断書について
通院している【指定自立支援医療機関】で、主治医に【自立支援医療診断書(精神通院医療用)】を書いてもらいます。
【精神障害者保健福祉手帳】の診断書に自立支援医療の項目が含まれているので、手帳と同時申請する場合は、手帳用の診断書1通で済みます。
障害年金を受給している場合、手帳の診断書は不要ですが、自立支援医療用の診断書は必要です。
申請する前に必ず診断書の内容を確認しましょう。封がしてあっても開けて大丈夫です。間違いがあったら医師に修正をお願いします。
受給者証受け取りまでの流れ
受付窓口は市役所の【障害福祉課】です。電話して郵送手続きも可能です。
あーるの場合は手帳と同時申請でしたが、単独で申請しても手順や期間はほぼ同じです。診断書の作成は約1ヶ月、申請から受け取りまでは約2ヶ月でした。
- 市役所に「自立支援医療を利用したい」と申し出る。
申請方法の説明書、複写式の診断書用紙をもらう。 - 病院で診断書を書いてもらう。
- 必要書類を持って市役所に行き、申請を行う。
【自立支援医療費支給認定申請書】と【世帯状況届及び同意書】に記入する。 - 受給者証が届くまでは、申請書の控(水色の複写紙)を医療機関で受付の時に提示。
いったん3割負担の金額を支払うと、後日2割分が医療機関から返金される。 - 書類が県に送られて認定の手続きが行われる。
- 【自立支援医療受給者証】が自宅に届く。
医療機関で受付の時に受給者証を提示すれば、医療費が1割負担になる。
有効期限と更新手続き
受給者証の有効期限は1年間です。更新のお知らせはなく、有効期限の3ヶ月前になったら忘れずに手続きする必要があります。
期限前に更新申請したのに、新しい受給者証が間に合わず期限が切れてしまったら、新規の時と同様に申請書の控を受給者証代わりに使えます。
診断書は原則2年に1回の提出です。次回更新時に診断書が必要かどうかは、受給者証の裏に書いてあります。有効期限を1ヶ月以上過ぎて再認定となると、『不要』と書いてあっても診断書が必要です。
投稿者:あーる母
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