ボランティアグループ「コソガイ」が運営する「鎌倉くらしと子育てガイド」の連載記事や、皆様から寄せられた体験談、コラム、エッセイのブログです。

鎌倉くらしと子育てガイド

第3回 支援の準備

診断を受けたあーるさん。公的・福祉的な支援を受けるために、あーる母さんが行った準備とお勧めの方法です。

このシリーズでは、成人後に障害の診断を受けた「あーるさん」のお母さんが、大人の発達障害・知的障害と利用できる支援を紹介しています。

支援を受ける前に

私は最初に障害者支援にどんなものがあるのかよくわからないまま、あーるが障害者枠で就職するための『障害者手帳の取得』だけを考えていました。

そのため、もっと早く手続きできたはずの【障害福祉サービス】や【障害年金】などの支援を受けるのが遅くなってしまいました。

これから支援を受けようと思う方は、まず市役所のHPから【福祉の手引】をダウンロードして目を通すことをお勧めします。

一緒に紹介されている障害者支援協議会発行の【精神保健福祉情報ガイド☆かまくら】【仕事応援ガイドブック】もかなり役に立ちます。私は全て手続きが終わった後にたまたま見つけましたが、こんな便利なものがあったなんて…。

福祉の手引

【福祉の手引】は障害者手帳を取ると窓口でくれる冊子です。受けられる支援や申請方法、関係機関一覧がまとまっていて、もっと前に見ておくべきだと思いました。

福祉の手引き

ただ、【福祉の手引】は情報量が多くて、混乱するかもしれません。いろんな支援制度が載っていますが、発達障害や軽度知的障害で利用できるものはそのうちのほんの一部です。とりあえずは目次だけでも見て、どんなものがあるか大まかに把握しておくことをオススメします。

年に何度か更新されているようですが、全部が最新情報とは限らないので、詳細は書かれている問い合わせ先に直接聞いた方がいいです。

精神保健福祉情報ガイド☆かまくら

市内と近隣の精神科について、対象分野、スタッフ配置など、かなり詳しい情報が載っています。現在の最新は令和3年版です。

こちらは【支援者】向けの資料なので、相談する側の私たちには使いづらい部分もあります。

仕事応援ガイドブック

令和2年版で少し情報が古いですが、市内の就労支援事業所について、利用者数や平均年齢、工賃金額、作業内容など、かなり詳しい情報が載っています。障害者雇用の説明もまとまっています。

こちらは、支援を受けて就労したい【利用者】向けの内容になっていてわかりやすいです。

支援の順番

あーるのためにいろいろな福祉の支援を申請しましたが、無駄に時間や費用が掛かってしまった部分もありました。もしも今からやり直せたら、私は次の順番で手続きしたいです。

それぞれの支援の詳細は、今後別の記事で一つずつ紹介していきます。

  1. 療育手帳
    知的障害を証明する手帳です。【知的障害者】として、さまざまなサービスを受けたり障害者枠で就職するのに必要です。
    通常は18歳前に取得するもので、成人後の手続き方法はかなり面倒です。遅くなると、幼少期から知的な問題があったことの証明が難しくなり、取得しづらくなります。
    金銭的メリットもあるので早くすればよかったです。
  2. 就労移行支援障害福祉サービスの一つ)
    就職するための訓練施設です。事業所によってカリキュラムは全く異なりますが、就職に必要なスキルを身に付けたり、就職活動のサポートが受けられます。原則2年間まで通えます。
    通所中はバイトもできないなどデメリットもありますが、通うなら若いうちの方がいいです。
  3. 障害年金
    20歳以上で障害で働けない人に生活費が支給されます。通常は1-5年の有期認定です。
    障害基礎年金を受給すると、障害者医療費助成(所得制限あり)で医療費無料というメリットも大きいです。
    早くもらえればありがたいですが、審査が厳しいのでタイミングも重要です。うちは確実に無職が続く就労移行支援の通所中に申請したので通った可能性が高いと思います。
  4. 自立支援医療
    精神の通院医療費が約1/3になる制度です。毎年更新が必要です。
    利用は限定的ですが、通院や投薬が多い時には助かります。障害者医療費助成があれば不要なので、年金の審査に落ちたり所得制限に引っかかった時だけ申請すればいいです。精神障害者手帳の診断書でも申請できるので、手帳と同時なら診断書費用が節約できます。
  5. 精神障害者保健福祉手帳
    発達障害の証明書は精神の手帳になります。2年ごとに更新が必要です。
    療育手帳に比べると少しサービス内容が劣るので、療育手帳があると取得するメリットは少ないですが、【精神障害者】として障害者枠で就職するには必要です。
    障害年金の受給中は審査不要で取得できるので、年金の審査に落ちた時だけ診断書を取ればよかったです。

人によって必要な支援も最適な順番も違います。上記はあくまでも我が家の場合です。

知的な遅れがない人は療育手帳は取れませんし、訓練なしで就職できる人は就労移行支援には通わずに、障害者専用の相談機関や就職エージェントがあるのでそちらの利用をお勧めします。

年金は初診から1年6ヶ月、精神の手帳は6ヶ月経たないと申請できないという縛りがあります。
以前は別の病院で別の病名が付いていたとしても、今の主治医が同じ障害による症状と判断すれば、最初の病院の初診日から数えます。

子どもの頃に受診していたあーるは診断後すぐに申請できましたが、全くの初診の場合は注意が必要です。

年金受給の見込みがない人や、すぐに就職活動を始める人は、早めに自立支援医療と精神障害者保健福祉手帳を同時申請した方がいいと思います。

薬代が高額になる人は、精神の手帳が申請できる初診から6ヶ月を待たずに、診断後すぐ自立支援医療だけを先に申請した方が、費用が掛からない可能性もあります。

相談先を見つける

いろんな支援があることがわかっても、制度や利用方法はかなり複雑です。素人だけで手続きするのは難しいので、専門家に相談するといいです。情報提供やアドバイスだけでなく、実際の手続きに付き添ってくれたり代行してくれるところもあります。

専門家がいる相談機関については、次回に詳しく説明します。

次回は10/11(水)に公開予定です。利用した相談先についての内容になります。

投稿者:あーる母

コソガイより

この記事の内容は、障害者の親である「あーる母さん」の個人的な経験に基づいたものです。社会福祉士の資格を持つスタッフのほか、複数の福祉関係者が確認を行っています。

受けられるサービス、手続きなどは人により異なったり、制度が変更になっている可能性があります。ご利用の際は、必ず関係機関や専門家による正確な情報をご確認くださいますようお願いいたします。

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