あーるさんが通った施設「就労移行支援」について、詳しい内容と利用方法です。
成人後に障害の診断を受けた「あーるさん」。
このシリーズでは、あーるさんのお母さんが、大人の発達障害・知的障害で「利用できる支援」にたどり着くまでの体験やその時に調べたことを紹介します。
就労移行支援とは
あーるに診断が下りて、最初は急いで手帳を取ってすぐに就職活動を始めるつもりでした。ところが「今のまま就労するのは難しい。訓練を受けた方がいい」と医師に言われて、【障害福祉サービス】の一つである【就労移行支援】に通うことになりました。
そこで親子でいくつかの就労移行支援事業所に見学に行き、詳しい説明を伺い、一部は私も一緒に体験までさせてもらいました。そうやってわかったことを今回はお伝えします。
就労移行支援とは、自力で就職できない人が一般企業で働くための、訓練と支援を行う通所型サービスです。一部の事業所では在宅訓練にも対応しています。
原則2年間まで利用できます。退職後に再利用したり事業所を変更する場合も合計2年間までです。なお状況によっては1年間延長が認められます。
就労移行支援を利用できる人
次の条件に全て当てはまる人が利用できます。
無職の人のためのサービスであり、原則アルバイトも禁止です。事情がある場合は鎌倉市障害福祉課に相談してみることをお勧めします。
メリット
デメリット
訓練内容
講座プログラム
ビジネスマナー、コミュニケーション、体調管理、自己理解、PC操作などの基本を学びます。
テキストを使った講義、グループワーク、体力作りの運動など、少人数の集団指導が中心です。『多種多様なプログラム』『資格取得』を謳っているところは、eラーニングによる自習が多いようです。
演習・実習
事務、データ入力、軽作業、清掃、調理などを体験しながら、自分に合う職業・働き方を見つけます。
模擬職場で上司役のスタッフから仕事を割り振られます。一部の事業所では、自社や外部から請け負った実際の業務を行います。外部企業に実習に行くこともあります。
就職活動と就職後の支援
職場探し
原則として求人の斡旋は行っていません。相談しながらハローワークや求人サイトを利用して、就職先は自分で探します。
なお、企業との繋がりや、独自の求人サイトを持っているところもあります。
就活対策
履歴書添削、模擬面接などの準備のほか、企業との連絡調整、面接に同席して特性や配慮事項を伝えてもらう等の支援があります。
定着支援
職場訪問や面談で、利用者と企業双方のサポートをしてくれます。
期間は就職から6ヶ月間ですが、同じ事業所で【障害福祉サービス】の【就労定着支援】も行っている場合は、その後続けて3年間利用可能です。
費用と助成金
利用料
自己負担額は1日1,000円程度ですが、本人と配偶者が住民税非課税なら無料、年収約600万以下なら月額上限9,300円です。約9割の人は無料で利用しているそうです。
交通費
鎌倉市では通所交通費の助成があります。自宅から事業所施設まで一番安い経路のIC利用運賃で、利用日数分が翌月末に振り込まれます。
企業実習など、施設外に通う場合の交通費は自腹になります。
昼食代
昼食は弁当持参か、昼休みに外で買ってきたり外食することになります。冷蔵庫や湯沸かしポットが使えるところもあります。
一部の事業所では昼食代の補助があり、無料や低価格で昼食が提供されます。
賃金
実習で働いても雇用ではなく訓練なので賃金はありません。
一部の事業所のみ、外部から委託した業務については時給数十円程度の工賃がもらえます。
鎌倉市障害者就労移行支援金
就労移行支援を卒業して就職した人が、鎌倉市からもらえるお金です。
鎌倉在住の障害者が、就労移行支援または就労継続支援から一般就労して6ヶ月以上継続勤務すると、1人1回限り10万円が受け取れます。
事業所の選び方
就労移行支援の事業所は民間の企業やNPOが運営していて、それぞれ内容が全く異なります。発達障害専門、IT系、調理系など、障害種別や就職分野に特化している事業所もあります。
興味のあるプログラムだけ選べる、曜日固定など通い方や、訓練の厳しさ、事業所の雰囲気もさまざまです。複数の事業所を見学して、自分に合うところを探しましょう。
開所時間、交通アクセス、周囲の環境など通いやすさも重要です。鎌倉市内だけでなく、藤沢、横浜など近隣地域の事業所も利用可能です。遠くても毎日きちんと通えれば実績となります。
多くの事業所は事前に半日〜1週間程度の体験利用ができます。実際のプログラムを受けながら、他の利用者やスタッフの様子もわかります。
鎌倉市内の事業所については、第3回の記事に書いた【仕事応援ガイドブック】が参考になります。ただ情報が少し古いので、閉所済みやまだ載っていないところもありました。
サービス利用の流れ
いくつも見学や体験すると、スケジュール調整が結構大変でした。事業所を決めるまで、1-2ヶ月みておいた方がいいです。申請から受給者証が届くまでは10日程度でした。
申請の時、支援対象者であることの証明書類(診断書、医師の意見書、手帳など)が必要です。
- 通える範囲で就労移行支援事業所の情報を集める。
病院や相談機関でパンフレットをもらったり、HPを確認する。 - 気になる事業所に連絡して、見学・相談に行く。
- 体験通所。
事業所によっては、規定のプログラムの体験が必須。 - 通所する事業所を決める。
- 事業所と相談して、通所開始希望日を決める。
事業所によっては、手続き完了前から仮通所が可能。 - 市役所【障害福祉課】に申請の予約をする。
- 指定された日に市役所へ行き、面談を行う。
申請書、セルフプランに記入して『どこの事業所に、月何日通うか』を提出する。 - 支給決定。受給者証が自宅に届く。
- 事業所に行き、利用契約を結ぶ。
事業所に受給者証を提示。通所後でもOK。 - 通所開始。
投稿者:あーる母
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