ボランティアグループ「コソガイ」が運営する「鎌倉くらしと子育てガイド」の連載記事や、皆様から寄せられた体験談、コラム、エッセイのブログです。

鎌倉くらしと子育てガイド

第5回 障害福祉サービス

障害者手帳がなくても利用できる、「障害者総合支援法」に基づくサービスについて。

成人後に障害の診断を受けた「あーるさん」。
このシリーズでは、あーるさんのお母さんが、大人の発達障害・知的障害で「利用できる支援」にたどり着くまでの体験やその時に調べたことを紹介します。

障害福祉サービスとは

あーるが診断を受ける前、グレーゾーンでも利用できる【障害福祉サービス】という支援があると、相談機関で教えてもらって自分でも調べてみました。

いろんな資料やHPを見ていると、何を示しているのかバラバラだったりして、かなり混乱しましたが、私が理解した限りでは次のようなものでした。

障害福祉サービスとは、障害や難病のある人が地域で生活を続けていくために、介護、訓練、相談、医療、補装具などのサービスを少ない自己負担で受けられる、国の仕組みです。

受給者証の発行などの業務は市が行っていますが、鎌倉市外のサービス事業所も利用できるので、選択肢が結構多いです。

広い意味の【障害福祉サービス】は、障害者総合支援法と児童福祉法による、障害児者のためのサービス全般です。障害福祉情報サービスかながわというHPに詳しく書いてあります。

特にその中の、【介護給付】と【訓練等給付】だけを指して【障害福祉サービス】と呼ぶことが多いです。【自立支援医療】や【補装具】の助成も広い意味では含まれますが、手続きなどに違いがあり、通常はそれぞれ別の制度として扱われるようです。

サービスを利用できる人

次のどちらかに当てはまり、市が認めた人に【福祉サービス受給者証】が発行されます。

  • 『障害や難病がある』と医師に診断されている。障害者手帳の有無は問いません。
  • 『診断名は付かない程度だが支援が必要』という医師の意見書がある。
障害福祉サービス受給者証

サービスの利用料金

料金は、厚生労働省が定めた【障害福祉サービス等報酬】の点数で決まっているそうです。

原則はサービス料の1割が自己負担ですが、世帯収入に応じて負担上限月額があり、住民税非課税なら利用料無料、年収約600万以下なら月額最大9,300円です。

この制度における【世帯】とは、18歳以上では本人と配偶者のみで、住民票の世帯と異なります。本人たちの収入がなくて親が養っている場合は、ほぼ無料で利用できるのがありがたいです。

介護給付

ホームヘルプやショートステイ、外出時の付き添いなど。
高齢者介護保険サービスの障害者版です。

介護が必要な身体障害者や重度の障害者向けのサービスなので、大人になってから発達障害や知的障害がわかった人の場合は、ほぼ利用できないと思います。

訓練等給付

就労支援、生活能力の訓練、グループホームなど。
軽度の障害やグレーゾーンでも利用できるものがあります。

利用を検討した時に説明を受けましたが、サービスの名前が似通っていてわかりにくかったです。主なものについて、私なりの解釈を簡単に説明します。

就労移行支援

一般企業に就職を希望する人向けの就職準備の訓練所です。

次の回で詳しく紹介します。

就労継続支援A型

一般企業で働くのが困難な人向けの福祉的就労の場で、雇用契約を結んで働くものです。

基本的には最低賃金が保証されますが、就労時間が短めで給与は安いことが多いです。

就労継続支援B型

一般企業で働くのが困難な人向けの福祉的就労の場で、雇用契約がないものです。

給与はなく、何か作ったり作業した工賃は時給数十円〜数百円です。

自立訓練(生活訓練)

生活面や対人関係に課題があって、まだ働ける状態にない人向けの生活訓練所です。

引きこもりなどで外出が困難な人のために、訪問で訓練を受けられるところもあります。

就労定着支援

【就労移行支援】などの利用者が一般企業に就職した後も、働き続けられるようにサポートするサービスです。

面談や職場訪問をして、利用者と企業両方の相談に乗ったり、連絡調整を行ってくれます。

計画相談支援給付

【介護給付】や【訓練等給付】の申請に必要な【サービス等利用計画案】を作成して、福祉サービスの利用をサポートする相談所です。

本人・家族などが【セルフプラン】で計画案を出せる場合は利用しなくても構いません。

次回は10/25(水)に公開予定です。就労移行支援についての内容になります。

投稿者:あーる母

コソガイより

この記事の内容は、障害者の親である「あーる母さん」の個人的な経験に基づいたものです。社会福祉士の資格を持つスタッフのほか、複数の福祉関係者が確認を行っています。

受けられるサービス、手続きなどは人により異なったり、制度が変更になっている可能性があります。ご利用の際は、必ず関係機関や専門家による正確な情報をご確認くださいますようお願いいたします。

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