複雑な「障害年金」について、後半は申請方法や必要書類についてです。
成人後に障害の診断を受けた「あーるさん」。
このシリーズでは、あーるさんのお母さんが、大人の発達障害・知的障害で「利用できる支援」にたどり着くまでの体験やその時に調べたことを紹介します。
障害者手帳との関係
障害者手帳を持っていても障害年金を受給できるとは限りません。手帳と年金は別の制度であり、審査機関も違います。
ただし、精神障害では障害年金と手帳の判定基準は似ていて、年金の方が厳しいです。精神で障害年金を受給していれば同じ等級の精神障害者手帳が無審査でもらえます。
急いで手帳を取る必要がなければ、障害年金の請求を先にした方がいいです。
診断書について
どの時点の診断書が必要なのかは、請求の方法によって違います。
障害認定日を過ぎてから、現在通院している精神科などの主治医に【診断書(精神の障害用)】を書いてもらいます。
年金の診断書は必要事項が多くて、医師にとっては面倒だと思いますが、あーるの主治医は書き慣れていたようで、すんなりと書いてもらえました。
申請する前に必ず診断書の内容を確認して、コピーを取っておきましょう。封がしてあっても開けて大丈夫です。間違いがあったら医師に修正をお願いします。
診断書のコピーは、審査に落ちて不服申し立てをする時や、更新でまた診断書を書いてもらう時の確認に使います。『これまでの経緯や現在の状態と医師の所見』が書かれた資料として、他の支援を受ける時にも役立ちます。
病歴・就労状況等申立書について
【病歴・就労状況等申立書】は生育歴や現在の状況について、本人や家族が記入するものです。
発達障害や知的障害の場合、出生直後からの様子が必要なので親が書くことが多いです。社労士に書いてもらう場合も、親が詳しい情報を伝える必要があります。
第2回の記事で書いた【生育歴】を元にすれば作成は難しくありません。日本年金機構のHPに記載要領があります。
審査で診断書の補足資料となるので『どんな困難があったか』をしっかりと訴えた方がいいです。できれば、医師に診断書を依頼する時に先にこちらを作って渡しておくと、診断書の内容と食い違わずに済みます。
用紙は市役所などでももらえますが、日本年金機構のHPにExcelのシートがあるので、それを使った方が楽に記入できます。
年金の手続きの流れ
【障害基礎年金】は市役所または年金事務所、【障害厚生年金】は年金事務所で手続きします。
市役所の窓口は【保健年金課年金担当】です。平日に行けない場合は【藤沢年金事務所】に郵送手続きを相談するか、【社労士】に有料で依頼します。
あーるの場合、書類を集めるのに約2ヶ月、申請から受給決定までは約3ヶ月、初回振込はその2ヶ月後、支援給付金の初回振込は更に1ヶ月後でした。
障害基礎年金の受給まで
- 市役所に「障害年金を受給したい」と申し出る。
必要書類一覧、診断書や請求書などの用紙をもらう。 - 初診日を証明する。(転院している場合のみ)
初診の病院に【受診状況等証明書】の用紙を渡して書いてもらう。 - 【病歴・就労状況等申立書】を自分で作成する。
- 通院中の病院で診断書を書いてもらう。
記述を合わせるため、医師に申立書や受診状況等証明書の内容を伝えておく。 - 準備ができたら市役所で請求(申請)を行う。
必要書類を持って行き【年金請求書】【年金生活者支援給付金請求書】に記入する。 - 法定免除の手続きをする。受給が決定してからでもOK。
【国民年金被保険者関係届】に記入する。
全額免除ではなく納付を希望する場合は納付期間の届出も必要。 - 書類が【日本年金機構障害年金センター】に送られて審査が行われる。
- 受給が決定すると【年金証書】が自宅に届く。
有期認定の場合、次回の診断書提出年月(更新月)が書いてある。 - 年金の振込予定について通知書が届く。
- 法定免除について通知書が届く。
- 【障害年金】が振り込まれる。
初回は支給開始月からの分をまとめた金額、次回以降は2ヶ月分ずつ。
年金生活者支援給付金の受給まで
- 年金生活者支援給付金の【支払決定通知書】が届く。
- 給付金の振込予定について【振込通知書】が届く。
- 【障害年金生活者支援給付金】が振り込まれる。
初回は支給開始月からの分をまとめた金額、次回以降は2ヶ月分ずつ。
障害基礎年金の更新まで
- 更新月のしばらく前から通院して、医師に現在の状況を伝えておく。
- 更新月の約3ヶ月前に【障害状態確認届(診断書)】が届く。
- 通院中の病院で診断書部分を書いてもらう。
- 同封の返信用封筒で【障害状態確認届(診断書)】を返送する。
- 【日本年金機構障害年金センター】で審査が行われる。
- 継続が決定したら、次回の診断書提出時期のお知らせハガキが届く。
投稿者:あーる母
コソガイ追記:社労士からの補足
年金制度は非常に複雑なため、専門家である地元の社労士の方にチェックをお願いしました。
社会保険労務士 石川勝己
〒247-0074 神奈川県鎌倉市城廻682-5
090-6306-4033
https://buzz.yokohama/
記事の内容に間違いはなく問題ないとのことです。さらに、2点のアドバイスをいただきました。
診断書の「記載要領」
診断書の作成を医師にお願いする際、診断書用紙に
「国民年金・厚生年金の障害年金の診断書を作成する医師の皆様へ 障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領 ~記載にあたって留意していただきたいポイント」
も添付して提出するとベターです。標題通り、医師のための指南書です。診断書になれていない医師には重宝です。日本年金機構のページに載っています。
年金相談センターの紹介
障害年金の相談先・提出先には、社労士会が日本年金機構から運営を受託している次の2つの相談所もあります。予約をとればベターですが予約なしでも相談に乗ってくれます。また予約も年金事務所ほど混んではいません。
街角の年金相談センター戸塚
横浜市戸塚区上倉田町498-11第5吉本ビル3F
045-861-7744
街角の年金相談センター藤沢オフィス
藤沢市藤沢496藤沢森井ビル6F
0466-55-2280
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